女性国際戦犯法廷20年 判決/証言をどう活かすか

―日本軍性奴隷制を裁くー

女性国際戦犯法廷20周年実行委員会=編
金富子・梁澄子・岡本有佳・石田凌太=責任編集

「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」は、
裁きと正義を求める被害者の声に応えて、
加害国日本の女性運動が被害国女性運動と
グローバルな市民と協働しながら、
東京裁判で裁かれなかった旧日本軍指導者の個人責任、
その後の被害を放置した日本政府の国家責任をも裁いた民衆法廷であった。

本書は、2000年12月に行われた同法廷から、
20年目の2020年12月に開催された国際シンポジウムの記録である。
事前に作成されたサバイバーの証言
(南北コリア、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、東ティモール)や
法廷関係者の映像とライブ映像とあわせて構成された
同シンポジウムの内容を収録している。

目次


はじめに

第Ⅰ部
いまこそ性暴力不処罰と植民地主義を断ち切るために

【基調報告】
女性国際戦犯法廷〜市民社会の正義の追求を再定義する
ウスティニア(ティナ)・ドルゴポル

女性法廷から日本の植民地主義を問い直す
阿部浩己

女性法廷から性暴力を処罰した韓国#MeToo運動へ
李娜榮

【映像台本】
女性国際戦犯法廷と松井やよりさん 

【法廷関係者からのメッセージ】 
尹貞玉/インダイ・サホール/クリスチーヌ・チンキン/
パトリシア・セラーズ/ウスティニア・ドルゴポル/
康健/中原道子/吉見義明/林博史/東澤靖/
朝鮮日本軍性奴隷及び強制連行被害者問題対策委員会

【特別寄稿】
松井やよりとその時代
―「女性国際戦犯法廷」が私たちに託した宿題―
本田雅和 

【コラム】
歴史に刻む
―女性国際戦犯法廷から20年を思う―
中野敏男 

「正義」を求めた女性たちと闘いを共にした
「女性運動」を受け継ぐ
井桁碧

継承される女性法廷の意義
石田凌太

第Ⅱ部
サバイバーの証言を聴く/次世代からの提言
1 日本軍「慰安婦」・戦時性暴力サバイバーの証言を聴く

【証言者アルバム】

【証言映像】
南北コリア
金学順 朴永心 李玉善 李容洙

中国
李福蘭 李金魚 李金娥

台湾
イアン・アパイ 陳桃

フィリピン
ナルシサ・クラベリア エステリータ・ディ

インドネシア
チンダ ヌライニ ジャヘラン ドリ  ミンチェ タシヤマ

東ティモール
マルタ・アブ・ベレ エスメラルダ・ボエ

2 次世代からの提言~未来へつなぐ

東ティモール
マリナ・ガルチョ(HAK アドボカシーチーム)

在日朝鮮人
朝鮮大学校学生

フィリピン
ビンズ・レアソンダ(リラ・フィリピーナ)

台湾
陳依屏(阿嬤の家)

米国
キンバリー・クルーズ(STAND 代表)

韓国
キム・ミンジュ(平和ナビソウル代表)

日本
伊藤美咲、蔵内靖恵、佐々木香織(希望のたね基金)

トークセッション

【メッセージ】
女性国際戦犯法廷20 周年国際シンポジウム宣言文

閉会あいさつ 李娜榮

被害生存者の証言を伝える意味 梁鉉娥

【コラム】
記憶に向き合う 人見佐和子
メディアも加害者だと言わざるを得ない 柏尾安希子 
共に闘う道を模索したい 田部井杏佳 
デジタルネイティブ世代が運動にかかわること 有田光希 
証言をとおして共有すること 伊藤美咲 
札幌でともに見た国際シンポジウム 水上さえ 

【アンケートから】
それでも法廷の意味はあった 坂上香 

●巻末資料●
女性国際戦犯法廷とその後を知るためのブック・映像ガイド 
女性国際戦犯法廷20周年オンライン国際シンポジウムプログラム 

A5判・並製・全200頁 本体1800円+税 
2021年11月刊行 ISBN978-4-86686-022-0 C3036