教育勅語と学校教育

―教育勅語の教材使用問題をどう考えるか-

日本教育学会教育勅語問題ワーキンググループ編

執筆者
中嶋哲彦・小野雅章・有本真紀・三羽光彦・
本田伊克・大橋基博・米田俊彦・瀧澤利行・
折出健二・西島央・広田照幸(執筆順)

「研究の世界ができることは、われわれが住むこの世界に関する、

よりましな言明とまちがったり歪んだりした言明とを、

学問的なルールと方法によって慎重に選り分けていくことである。」

 

2017年3月31日、政府は学校における教育勅語の使用を
容認する答弁を公式見解として表明した。
これを受けて、同年5月、政府の教育勅語使用容認答弁の問題点を
学術的に明らかにするため、日本教育学会の法人理事会は、
「教育勅語問題ワーキンググループ」を設置。
本書は、この研究報告書を柱とし、公開シンポジウムでの
主な発言者等の論考を加えて編集したものである。
教育勅語の成立過程とその歴史的意味、戦前・戦中における教育勅語の利用実態、
敗戦後における教育勅語の排除、第一九三回国会における
政府答弁の問題点などを学術的に明らかにしている。
また、1947年の日本国憲法施行・教育基本法制定や、1948年の衆参両院での
教育勅語排除・失効確認決議によって確立された原則を整理し、
学校で教育勅語を扱う際に則るべき五つの原則を提言。現場で役立つ、
教育勅語の教材使用についてのQ&Aも掲載している。

 

子ども・若者の教育・教育行政に携わる人々に向けた、
教育勅語に関する最新の知見

 


教育勅語問題と本書刊行の経緯
―教育勅語のさらなる批判的検討に向けて―
中嶋哲彦

 

第一篇
教育勅語の教材使用問題に関する研究報告書

 

〈第一部 本 編〉
第一章
教育勅語の内容と実施過程
―教育勅語は学校教育に何をもたらしたのか―
小野雅章

第二章
学校儀式と身体
―教育勅語と唱歌の共存関係を中心に―
有本真紀

第三章
戦後における教育勅語の原理的排除
三羽光彦

第四章
教育勅語は学習指導要領・教科書でどのように扱われているか
本田伊克

第五章
第一九三国会における教育勅語使用容認論とその問題点
中嶋哲彦

第六章
学校教育における教育勅語の扱いについて
中嶋哲彦

〈第二部 教育勅語の教材使用に関するQ&A〉
日本教育学会教育勅語問題ワーキンググループ

〈第三部 資料編〉
大橋基博構成
資料1 教育勅語関係基本資料
資料2 教育勅語の教材使用容認に関わる資料

 

   第二篇 教育諸学からの発言

 

第一章
教育勅語の戦前と戦後
―教育史研究の視点から―
米田俊彦

第二章
生活指導研究と教育勅語
―生活指導史研究の視点から―
瀧澤利行

第三章
道徳教育と教育勅語問題
―戦後道徳教育振興期の論点に学ぶ―
折出健二

第四章
なぜ教育勅語の暗唱が問題なのか
―「隠れたカリキュラム」から読み解く―
西島 央

あとがき
広田照幸

 

A5判・並製・全296頁、本体2400円+税
2018年4月刊行
ISBN978-4-86686-000-8 C3037