―学校と貯金の近現代-
吉川卓治
「貯金」はどのように習慣化されたか――
日本の近代化を支え、戦後の高度経済成長期を支えた国民の貯蓄。
証券市場が十分に発達していなかった日本で、
近代的な勤倹貯蓄の習慣を形成するため、
明治期より導入された「学校貯蓄」の成立にさかのぼり、
戦後に誕生した「子ども銀行」のたどった歩みにせまる。
学校と子どもとお金、そして国家経済の交点を明らかにする。
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目 次
序 章 交錯する教育と金融経済
第1章 学校貯金の構想
1 留学生監督の報告と『老蘭氏学校貯金説』
2 マイエットによる大日本教育会での講演
3 政府内部の抗争と構想
第2章 学校貯金の誕生
1 地域での試み
2 授業のなかの勤倹貯蓄
3 学校貯金をめぐる議論
第3章 「貯金生徒」の増加と切手貯金
1 学校貯金と「貯金生徒」の増加
2 切手貯金制度の登場
3 切手貯金台紙というメディア
4 切手貯金の減少と停止
第4章 勤倹貯蓄奨励策の展開
1 日露戦時・戦後経営下の施策
2 第一次大戦後の施策
3 関東大震災後の施策
第5章 総力戦体制下の学校貯金
1 国民貯蓄奨励運動の開始
2 切手貯金の再開
3 学校での貯金実践と子どもたち
第6章 「子ども銀行」の時代
1 誕生と広がり
2 増加する「子ども銀行」
3 戦後新教育とのかかわり
第7章 「子ども銀行」の終焉
1 大衆消費社会の到来
2 衰退する「子ども銀行」
3 「子ども銀行」の閉店
終 章 「子ども銀行」とは何だったのか
註
参考文献
索引
あとがき
46判・上製・全264頁、本体2400円+税
2016年11月刊行
ISBN978-4-902163-89-6