人世をかじり言葉を食む

―― 障害を生きた一女性の心の声を聴く――

瀬下佐代子 著
飯守汀子 編

福祉施設、職員はどうあるべきか――障害者施設「津久井やまゆり園」事件は発生から5年と半年を過ぎようとしている今日でも、一施設の問題を超えて生命の尊さを問い続けている。本書は、横浜保土ヶ谷区にあるてらん広場の利用者・瀬下佐代子さんが遺した5冊のノートをたどりながら、障害福祉の現在を問い直すと同時に、横浜市又神奈川県で障害福祉を主導し、人と施設〈システム〉のあり方を問い続け、障害者が地域で生きることを切り拓き続けてきた社会福祉法人同愛会理事長・髙山和彦氏の反省的実践のまなざしの全容(「知的障害者の幸福とは何か」)が瀬下さん、そして人の心を共生へと向かわせる。話題作の待ちに待った刊行です。

目次

0 はじめに 飯守汀子

Ⅰ部 瀬下佐代子さんの心象風景・59年

1 瀬下佐代子さんの心の道案内 飯守汀子
〈人生とともにあるアートに向きあう〉大内 郁

Ⅱ部 人世をかじり言葉を食む・5冊のノート

2 「私、一人ぼっちになりました。」―“じりつ”の始まり
3 故郷藤岡の思い出
4 グループホームでの暮らし
5 癌の発見と手術、その後の化学療法〈余命宣告その1〉
6 癌の転移から再入院〈余命宣告その2〉
7 介護者との葛藤など、長期入院で感じたこと〈余命宣告その3〉
8 ラスト・ドライブ
9 うるわしの藤岡訪問
10 おわりに
11 瀬下佐代子さんの歩み
〈知的障害者の幸福とは何か―瀬下佐代子さんの心の円環を読む〉髙山和彦
12 あとがき 飯守汀子

A5判・上製・全398頁 本体3600円+税 2022年2月上旬刊行 
ISBN978-4-86686-024-4 C0036