横光利一「純粋小説論」の理論的射程

――「資本主義的国家主義」と家制度――

辛 西永

横光利一の「純粋小説論」で取り上げられた〈上海・寝園・紋章・時計・花花・盛装・天使〉を、その配列への意識性も含めて、文学の理論と実作との関わりを、精緻にかつ正確な論理的分析によって明らかにした、画期的な著作(小森陽一「解説」より)。

目次:

序 章 新リアリズムと読者主体の構築
第1章 「純粋小説」の出発点としての『上海』―「五・三〇事件」の表象と記号としての身体
第2章 『寝園』における「大倉銃砲店」の位置
第3章 『紋章』における「特許」と「産業組合」
第4章 『時計』におけるゴム会社の位置―「純粋小説論」の方法論
第5章 『花花』の方法意識と家制度
第6章 『盛装』における読者参加の意味―家督相続の問題と『婦人公論』
第7章 『天使』における政略結婚と家制度―外地でも実践された読者参加型小説
終 章 社会構造と偶然の狭間で
解説・小森陽一

A5判・上製、全336頁 本体4200円+税 
2025年9月刊行 ISBN978-4-86686-048-0 C3090